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読書の杜 Archive

猫にかまけて

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「くっすん大黒」を初めて読んで以来、「どうも自分には町田康は合わないなぁ」と感じていたのですが、友人に勧められた「猫にかまけて」は、とても面白いです。

エッセイのような類ですので、読むのもスラスラ。
猫好きな方は、特に面白いと思います。
(でも、途中で泣いちゃうかも。)

「東京飄然」も良いらしいので、こちらも時間ができたら読んでみたい!

数ヶ月ぶりに読書したら、面白かったのでご紹介します。

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります

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私は純文学というものを、これまで余り読んだことがなかったのだけど、ふと工房のN氏と話をしていると読書の話となり、彼から薦められた本。

ああ、影響されてる。
なんだか川上未映子さんの文体がのりうつっている。

芥川賞を受賞される前の、彼女がブログに書いた文章を集めた随筆集。
頭の中を覗いている。覗いている。

文章から才能がほとばしっている。

N氏、疑ってごめんよ。

とっても良いですね。

別世界にワープして、同じ異次元にいないと理解できない世界観もあるけど、大阪弁で語る話は、なんだか心地よく、それはそれで、妙に飛び込んでくるのです。

芥川賞の「乳と卵」も楽しみが増えたよ。

ぐるぐる回る扇風機を眺めながら、不覚にもいろいろ考えました。

私はゴッホにゆうたりたい

春が煙っておる。なんか立ち込めている。
なんでもないような一面をさあっと塗ったようなこんな空も、ゴッホには、うろこみたいに、飛び出して、それは憂う活力を持ち、美しく、強く、見えておったんやろうか。

春がこんこんと煙る中、
私は、
ゴッホにゆうたりたい。
めっちゃゆうたりたい。

今はな、あんたの絵をな、観にな、世界中から人がいっぱい集まってな、ほんですんごいでっかいとこで展覧会してな、みんながええええゆうてな、ほんでな、どっかの金持ちはな、あんたの絵が欲しいってゆうて何十億円も出して、みんなで競ってな、なんかそんなことになってんねんで、パンも食べれんかったし最後のパンも消しゴム代わりに使ってな・・・

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)
川上 未映子
講談社
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一九八四年

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ジョージ・オーウェル著。
執筆は1948年。
知人からタイトルだけは聞いていて、気になっていた本です。

「奥が深い」という印象。
全体主義を彷彿させる設定や価値観が随所に盛り込まれています。

二重思考、二分間増悪、ニュースピーク、党中枢、思考警察、真理省、蒸発・・・。

オーウェルは、戦後の社会主義への絶望を感じていたのでしょうか?

本書は小説であるとともに、思想書ともいうべき気がします。
程度の差はあれ、オーウェルが描く世界と現代は、実はそんなに違いがないのかもしれませんね。

本書は二十世紀世界文学の傑作と評されているそうです。
(参考)Wikipedia

一読しただけでは、まだまだ消化不足です。
現代についても考えさせられます。

戦争は平和なり
自由は隷従なり
無知は力なり

ビック・ブラザーがあなたを見ている。

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
ジョージ・オーウェル
早川書房
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超訳 ニーチェの言葉

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本屋さんで偶然、目にして手に取った本。
ニーチェは難しそうというイメージから、これまで全く触れたことがなかったのです。

「超訳」という題からも、また一読した感想からも、本書は恐らくニーチェ自身の言葉に倣っているものではないでしょう。
翻訳者の解釈が多分に入っているものと思いますが、自己啓発書としてみると感じ取るものもあります。

本来のニーチェはどうなんでしょう?
いつかはチャレンジしてみたいです。

良いことへの道

すべての良い事柄は、遠回りの道を通って、目的へと近づいていく。
     『ツァラトゥストラはかく語りき』

いつかは死ぬのだから

死ぬのは決まっているのだから、ほがらかにやっていこう。
いつかは終わるのだから、全力で向かっていこう。
時間は限られているのだから、チャンスはいつも今だ。
嘆きわめくことなんか、オペラの役者にまかせておけ。
     『力への意思』

夢の実現に責任を持て

きみはそんなことに責任をとろうとするのか。しかし、それよりも自分の夢の実現に責任をとったらどうだろう。
夢に責任をとれないほど弱いのか、それとも、きみには勇気が足らないのか。
きみの夢以上に、きみ自身であるものはないのに。
夢の実現こそ、きみが持っている精一杯の力でなすべきものでないのか。
     『曙光』

超訳 ニーチェの言葉
超訳 ニーチェの言葉

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ディスカヴァー・トゥエンティワン
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まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門

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明治、大正、昭和に生きた松永安左ェ門の物語。

このような人がいたのか、と驚きました。
その生涯は波乱万丈のひとことです。

派手な女遊び、起業、破産、隠遁生活。
生涯の夢「電力事業」で成功を収めつつも「官僚は人間のクズである。」と発言して追放されたり。
国宝級の美術品を上野美術館に寄付して自分は食うに困る生活をしたり。
めちゃくちゃです。

しかし非常にすがすがしい。なぜかと言うと筋が通っているからです。
周りが何といおうと自分の信念に従う、信義を大切にする、そして年齢を重ねるにつれ、私利私欲が抜け国民や社会への貢献を第一としていきます。

「公益のために死ぬならいいじゃないか。オレは断じてもらう。オレは関西のために大田垣を殺す!」
電力への情熱はすさまじく、もはや人間のことばではないです。

95歳の生涯は、非常にバイタリティに溢れ、何度も失敗しながら這い上がる様は、まさしく不死鳥です。
ページ数の多い大作ですが、この本を読むと仕事も人生も元気がでて楽しくなります。
お勧めします。

まかり通る-電力の鬼・松永安左エ門
小島 直記
東洋経済新報社
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少女パレアナ

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とても素晴らしい心の清涼剤です。

不遇な境遇のパレアナ。
しかし、天真爛漫にどんな事からでも喜ぶことを探し出す「何でも喜ぶ」ゲームで町中の人々の心を溶かしていきます。

失敗したり、物事が上手く行かないと落ち込んだり、閉じこもったり、世間を批判しがちですが、どうしてどうして。
本書を読むと、どのような状況でも物事は捉え方次第で楽しむことができると感じます。

ギスギスした人間関係に嫌気がさしていたり、悩み事がある方なども、読んでみると心がスッと軽くなりますよ。

本書は1913年にアメリカで出版され、すさまじい売れ行きを記録して、多くの読者に読み継がれています。(心理学のポリアンナ効果は、本書に由来しているそうです。また、日本では愛少女ポリアンナ物語という名前でアニメ化されたそうです。)

年齢や性別を問わず、人生で一度は読んだ方が良いと思える一冊です。
今日からパレアナを目指しましょう!

少女パレアナ (角川文庫クラシックス)
エレナ・ポーター
角川書店
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5%の人

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「読書のすすめ」店主の清水克衛さんの本。
久しぶりに読み返してみました。

エジソンやマザーテレサ、坂本竜馬など、5%の人は95%の大衆と何が違うのか。
特徴や考え方などについて述べられています。
詳しくは、本書を見て頂くとして、5%の人は、大衆からは「変な人に見える」というのは興味深いですね。

近づくための心の持ちよう。
「所属の欲求の壁(マズローの第3段階)を乗り越えるのは、本当に大変」と感じるところに、自分が如何に大衆側にいるのかと感じます。

現在では、切腹することも、飢え死にすることもないでしょう。「新しい金魚の1匹になりましょう」と清水さんが誘っています。

偉人のエピソード、語録がいくつか掲載されています。なかでも坂本竜馬が心に残りましたので、最後にご紹介します。
久しぶりに「竜馬がゆく」を読み返したくなりました。
(最後の言葉二つは以前、私がメモっていたものです。竜馬がゆく?だったかな・・・。)

世の人は我を何とも言わば言え 我が成す事は我のみぞ知る

「此頃、みよふな岩に行かなぐり上りしが、ふと四方を見わたして思ふニ、さてさて世の中と云うものハかきがら計である。人間と云うものハ世の中のかきがらの中ニすんでおるものであるわい。おかしおかし。めで度かしこ」
(現代語訳)
「この頃、妙な岩に行き当たり、しゃにむに上りました(チャンスを得て挑戦に成功=脱藩を許され土佐海援隊長になったことのたとえか)。そこで四方を見渡すと、世の中は牡蠣殻ばかり。人間は世の中の牡蠣殻の中に住んでいるものですなあ。おかしいおかしい(狭い世界で広い視野もなく生きていることを皮肉っている。)めでたい。さようなら」
『竜馬書簡集』(高知県立坂本竜馬記念館)

・・・竜馬は、新政府内で争い事が起こらないようにと、その人事についても草案をまとめ、それを西郷隆盛に見せたのです。その新政府の人選に竜馬自身の名前がないのを見て、
「尊兄の名が見あたらんが、どぎゃんしもしたかの」
と尋ねる西郷に、そばで見ていた海援隊の隊士で、後に外務大臣となり、不平等条約の改正に辣腕をふるった陸奥陽之助(宗光)が、のちのちまで人に語って聞かせたという、あの、有名なセリフが竜馬から発せられました。

「世界の海援隊でもやりましょうかな」

藩なんかクソくらえじゃ。さらば、土佐の海よ、ほいたらグッドバイ!

薩摩がなんじゃ、長州がなんじゃ。要は日本ではないか。

5%の人 時代を変えていく、とっておきの人間力
清水克衛
サンマーク出版
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自分の中に毒を持て

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岡本太郎さんの本。

強烈な内容。
芸術家らしく、本質に迫り、えぐりだすような、生々しさとともに、強い意志と爽やかさを感じます。

惰性的、形式的な社会や人々の生き方を疑問視するとともに、自分らしさを軸に真っ向から戦いを挑んでいくことの純粋さを説いています。
「いのちがパッとひらく」、「生命は燃えあがらない」、「自分をぶっ壊してやる」といった表現にも独特の感性を感じます。

そのままレールに乗っていれば安全だし将来も安泰という社会システム、そこにいて考えることを放棄している人々、個性を認めない教育、岡本さんは根本的な疑問を投げかけています。

「岡本太郎だから、できるんでしょう」と言うかもしれません。
でも、元々は誰でも持っているもの。行動に移せないところに、現代人の虚しさというか、弱さを感じてしまいます。
岡本さんは、本当の意味で魅力ある人物だったんだろうと思います。

勇気や意欲をもらえる本です。
進路に迷っている方、何をしたら良いか分からない方、背中を押して欲しい方などには、是非読んで頂きたいです。
お勧めします!

結果がまずくいこうがいくまいがかまわない。まずくいった方が面白いんだと考えて、自分の運命を賭けていけば、いのちがパッとひらくじゃないか。

そもそも自分と他とを比べるから、自信などというものが問題となってくるのだ。わが人生、他と比較して自分を決めるなどというような卑しいことはやらない。ただ自分の信じていること、正しいと思うことに、わき目もふらず突き進むだけだ。

ダメになって結構だと思ってやればいい。最悪の敵は自分自身なんだから。自分をぶっ壊してやるというつもりで。そのくらいの激しさで挑まなければ、今までの自分を破壊して、新しい自分になることはできない。
・・・
”なんだ、お前は。この世の中でマメツブほどのチッポケな存在だ。それがウヌボレたり、また自分を見くだして、いやになったりしている。バカなことだ”と突っ放して・・・

若い人たちにいいたい、ただのなまぬるいサラリーマンになることは容易だ。しかし、そこではほんとうの自分をごまかして、画一化するよりほかはないのだ。
・・・
人生うまくやろうなんて、利口ぶった考えは、誰でも考えることで、それは大変いやしい根性だと思う。繰り返して言う。世の中うまくやろうとすると、結局、人の思惑に従い、社会のベルトコンベアーの上に乗せられてしまう。一応世間体もよく、うまくはいくかもしれないが、本当に生きているのではない。流されたままで生きているにすぎない。

「面白いねぇ、実に。オレの人生は。だって道がないんだ。」眼の前にはいつも、なんにもない。ただ前に向かって身体をぶつけて挑む、瞬間、瞬間があるだけ。

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか (青春文庫)
岡本 太郎
青春出版社
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