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ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

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困難に立ち向かう勇気を与えてくれる珠玉の一冊です。

ランス・アームストロングは生存率20%以下と言われた睾丸癌からの復活を果たし、自転車レースの最高峰ツール・ド・フランスで奇跡的な復活を遂げます。

癌発病によるバラ色の人生からの転落、死への恐怖、極度の無力感、自分とは何か・・・。

「ただマイヨ・ジョーヌのためでなく」のタイトルが表しているように、本書は自転車レースの本ではありません。
ここに書かれているのは、自分のエゴや感情に悶え苦しみながらも人生に積極果敢に立ち向かう、一人の偉大な人間の記録です。(原題は『It’s Not About the Bike』(直訳では「自転車についての話じゃない」というタイトルです。)

入院中に読みましたが、余りに感動したためベッドの中で自然に涙が出てしまいました。

何事も不可能なことはありません。

あるのは諦めてしまった自分だけです。人生は切り開いていくことができます。

是非、手にとって頂きたい一冊です。

癌も同じだ。どんなに品性方正で、体が丈夫な人でも癌になる。人は癌に勝つためにあらゆる手段を講じる。それでも、人は死んでいく。これは絶対的心理だ。人は死ぬ。それを知った後では、すべてのことは無意味に思える。すべてが小さく思えるのだ。

恐怖とはどういうものか、僕は知っていると思った。自分が癌だと聞かされる前は。本物の恐怖、それはまぎれもない。まるで体中の血が逆流するような感覚とともにやってきた。それまで恐れていたこと―人に好かれないのではないかとか、笑われるのではないかとか、財産を失うのではないか―といった恐怖は、突然、単なる、臆病にすぎないように思えた。

最後にフィニッシュラインの所に戻り、僕は涙を懸命にこらえながら記者たちに話した。「信じられない。本当に。すごいショックです。僕が言いたいことはただ一つ。もし人生で二度目のチャンスを与えられたら、徹底的にやり抜くことです」

本当の話、ツール・ド・フランスでの優勝と癌のどちらを選ぶか、と訊かれたら、僕は癌を選ぶ。奇妙に聞こえるかも知れないが、僕はツール・ド・フランス優勝者といわれるよりは、癌生還者の肩書きの方を選ぶ。それは癌が、人間として、男として、夫として、息子として、父親としての僕に、かけがえのないものを与えてくれたからだ。

病気が僕に教えてくれたことの中で、確信をもって言えることがある。それは、僕たちは自分が思っているより、ずっとすばらしい人間だということだ。危機に陥らなければ現れないような、自分でも意識していないような能力があるのだ。それは僕の運動選手としての経験でも得られなかったものだ。
だからもし、癌のような苦痛に満ちた体験に目的があるとしたら、こういうことだと思う。それは僕たちを向上させるためのものなのだ。

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく (講談社文庫)
ランス・アームストロング
講談社
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